国や自治体の財政が逼迫している事は多くの方がご存知だと思います。
なかんずく、これまで地元経済が公共事業頼みであった自治体の財政問題は深刻です。
債務を本来的手段で削減しようとすれば、「増税」もしくは「公共サービス」の切り捨てしかありません。
そのどちらも許されず、かつ地域の公共サービスを継続しようとすれば、自治体が直面する課題は『資金調達』であります。
これまで自治体にとって税収以外の最大の財源は、国庫支出補助金や地方債でありました。
それが三位一体改革を謳う地方分権の推進により、先細りの趨勢にあります。
おのずと自治体は新たな資金調達手法を開発しなければなりません。
特に、高度成長期やバブル期に借入金で社会資本資産を整備したものの、
思うように償還が進まず、償還日には多額の負債が残るという事態が予測される自治体は、
より重症であります。
重症自治体においては、新たな借り入れを起こすか、
社会資本資産を整理して損失を確定するか以外に有効な手段はありません。
  前者は不良債務を自転車操業するだけであり、借金の先送りであります。
昨今はやりのPFI手法といえども、この点では例外ではありません。
また、このような自治体の起債能力は限定され、融資側も資金提供に慎重になります。
  一方、後者は「行政の失敗」を認めることになりますが、将来世代に対する負担を生まず、
かつそれ以上の損失を生じません。
納税者から批判を浴びるという点ではどちらも大同小異でありますが、
前者に比べ説明責任はより明確であります。
自治体が保有する社会資本資産は多くあります。
同時に、これらが抱える含み損も少なくありません。
将来に及ぶ維持管理費や更新費用までを考えれば、自治体の財政負担はいっそう破綻の方向に進みます。
特定の有料道路や駐車場等、フローでは健全な事業があっても、
元金返済まで含んだストックとして見ると不良資産とせざるを得ない社会資本は少なくないと思われます。
不良資産を整理し、『持たざる経営』を目指す自治体が登場しても良いのではないでしょうか。
PFIが脚光を浴びたのは、代替財源として効果があったからです。
予算が組めず、社会資本の整備が進まない自治体にとって、
PFIは財政負担を軽減し平準化するメリットを与える新たな資金調達手法です。
しかし、民間企業にとっては自らの信用力により資金を調達しなければならず、
しかもPFI事業に係わる資金確保は20‐30年に及びます。
おのずと調達能力には限界があります。
また前述の通り、PFIといえども借金の先送りであることに変わりはありません。
そこで浮上してきた新たな資金調達手法が『証券化』であります。
今後、自治体の資産マネジメントに関わる資金調達手法として、証券化の適用を議論していきたいと思っております。
○過去の取り組み
講演内容 | download |
「自治体の新しい資金調達-証券化(PFIを超えて)」 | |
「サービスプロバイダの機能」 |
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