証券化・社会投資ファンド





第三者評価
ここまで、社会資本の流動化並びに流動化手法である証券化について、 所有者即ち自治体にとっての財政的メリットを中心に話を進めて来ました。
しかし社会資本資産の流動化メリットは財政面、あるいは自治体だけにあるのではありません。 まず社会資本資産の流動化は投資家にとって新たな投資機会を与えます。
そもそも資産を証券化する場合、リスクを調整する優先劣後構造の導入が可能であり、投資家ニーズにあった商品を設計しやすいのです。
また社会資本の公共性を考えれば、例えば劣後部分を自治体が自ら保有する仕組みも考えられます。 自治体が「所有者」であり続けることで、公共サービスとしての保証を継続できるからです。
また、本格的な社会資本の流動化へ進めば、REITのような取引市場へと発展する可能性は高いです。

  一方、社会資本の流動化が進めば、社会資本資産の運営に多くの民間的手法が導入され、効率化が進むことも予想できます。 その効果は資産運用収益に直結し、投資家への更なる安定配当に貢献するでしょう。
そのためには、資産運営に無駄がないか、効率的であるかなどを専門的に評価する第三者機関が必要となります。 ただし、この第三者機関が評価するのは合理性や効率性だけにとどまってはなりません。
私企業が所有する不動産を対象とした資産運営においては、第三者評価機関の説明責任範囲は投資家のみで十分です。
しかし社会資本を対象とする場合の説明責任は、公共性の観点から投資家だけではなく、 資産の利用者、更には納税者を対象としなければなりません。
また評価内容についても、社会資本を対象とする場合、資産利用者の安全性・快適性が損なわれる事態は絶対に避けなければなりません。 第三者評価機関には、その役割として適切なサービス水準の設定と、その水準が維持されているかを監視・評価する専門性も求められます。 サービス水準の設定および維持管理の専門性は資産の物理的特徴、サービス性あるいは経営面によって異なります。
それらを分析し、投資家・利用者そして納税者に対して説明責任を果たしながら、 しかも運用収益に資することができるマネジメントを求められます。

こうした点で、社会資本資産のデュー・デリジェンスは、民間不動産のそれに比し、 利害関係者が広汎である分だけ多層的にならざるを得ないでしょう。


○過去の取り組み

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「自治体の新しい資金調達-証券化(PFIを超えて)」
「サービスプロバイダの機能」

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